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実際にシルクロードを旅する人は、リピーターが中心となります。ヨーロッパやアメリカといった、いわゆる一般的な「観光地」は既に見てしまった、従来と違った新たなデスティネーションを求める人達が主な顧客層となります。
日本のマーケットでは、目新しいデスティネーションにとって最大のターゲットはリピーターです。そのなかでも、「暇」と「金」に恵まれた熟・高年層が狙い目です。「シルクロード」は東西文物交流の歴史の観点から、多くの日本人に夢とロマンを感じさせる言葉です。将来にわたって大変「発展の可能性」を秘めたデスティネーションであります。しかし現時点におきましては、シルクロード沿いの「都市」の一部は、ホテル、レストラン等の設備が劣悪である、またサービス面においても不評のものがあります。私はこの方面への旅行を計画するに際しまして、お申し込みいただいたお客様に対し、出発前に「旅行説明会」を開催し、旅行条件のマイナス面について詳しくご案内することにしております。このような努力は、シルクロード・ファンを失わないためにも、大切であります。
(8) 「シルクロードを全継走破するユーラシア大陸横断50日間バスの旅」
1995年9月、中国の西安からトルコのイスタンブールまで、シルクロード全線を12,000キロバスで走破するツアーを実施しました。ツアーのルートは中国からカザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタン、イラン、トルコまで7ヶ国のシルクロードを陸路走破するものです。参加者は24名、平均年齢62才、殆とが第一線を退いた方々で、旅のベテランばかりでした。
1996年には、5回実施しました。今まで、このツアーには合計107名のお客様が参加されました。コース、宿泊箇所、ツアー・コンダクターを複数にする等、少しずつ改善を加え、回を重ねるに従い、お客様の評価も高くなってまいりました。
昨年は、年間の旅行商品の中で、企画が優れかつ消費者の評価の高かったツアーに与えられる「ツァー・オブ・ザ・イヤー」のグラン・プリを受賞するなどの話題を呼びました。今後はルックJTBの定番シリーズとして実施してまいりたいと思います。こうしたツアーに関心を示すお客様は、海外旅行歴20回以上、歴史.地理に詳しい方が多く、プロであるはずの旅行販売店の乏しい情報では太刀打ちできないのが実態です。今後は広く一般の旅行会社の販売窓口でご案内できる「最新の情報の提供」とお客様のニ一ズを把握し、ご案内するための「顧客管理」が必要となるでしょう。周囲を海で囲まれた島国に住む我々日本人の中には、大陸の自然「砂漠・高山」や「国境」に憧れを持つ人は多い。
ますます複雑化する社会、多様化する価値観、「富める国の貧しい国民」といわれる日本人、内外価格差、世界一の長寿国・日本、還暦という節目を迎えてもなお20年以上の時を過ごさなければならない。何に生きがいを求めるべきか?ありあまる時間を「旅」に注ぎ込むことの出来る人は幸福です。その旅がご本人の夢をかなえるものであれば、これに勝る幸せはないでしょう。
六十才代の熟年軍団が、今後ますます活発に世界の各地を歩き回ることでしょう。しかも少々過酷な条件などはものともせず、2ヵ月もの時間をかけて旅をしたいと願う人は確実に増えているものと思います。
最後に「シルクロードを全線走破するユーラシア大陸横断50日間バスの旅」に参加したお客様の声をご報告して、私のお話を終えさせていただきたいと思います。
「私にとっては、色々な意味で一生の思い出となる最高の旅でした。企画し連れていった人達、現地の方々に心から御礼申し上げます。何より景色が雄大で美しかった。ポプラの並木、砂漠の

 

 

 

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